せみまるだいありー。

職業はシリアルママの長男と同じです

向田邦子 かわうそ ラストシーンの恐怖について

お久しぶりです。(⚠️ネタバレ注意!)


ちょっと向田邦子さんはエッセイしか読んでなかった所があったので、小説もちゃんと呼んだるで!と思って一念発起。現在無職なのも手伝って(おいΣ\(゚Д゚;))、女史の短編集2作、「思い出トランプ」と「男どき女どき」を読み上げたのでした〜。

感想はなんかどの作品もジメジメしているなぁ…という印象。あと人間の何とも言えない白か黒かつかない1面をきちんと描写されているなぁ…ワイにはできませんや、というかんじ。

この2冊だけ読んでせみまる的BEST短編は「鮒」かしら…と感じました。(男どき女どきに最初に収録)家族団らんを楽しんでいる際、突如家の台所にバケツがおかれ、その中で泳いでいた1匹の鮒が家庭の大黒柱である男の不貞を浮かび上がらせるっちゅう物語なんですけどもね…夫の愛人だったツユ子さん(名前も性格もなんかジメッとしとるんやけど妙に色っぽいというね)と奥さんがホントは愛人のこと知ってるの?そうじゃないの?とこの2人の存在にソワソワしてしまいました。あと鮒という小道具の使い方も好き。


とまぁ、「鮒」がすきなんですけども、印象にダイレクトに来たのは大昔にも読んだことのある「かわうそ」でした(思い出トランプ収録)。昔読んだ時は小学生だったと思うので、タイトルもよく覚えてない、ミステリ傑作集(?)みたいなやつてで読んだ気がします。なんか可愛げのある奥さんの裏というか無邪気な悪意?を脳卒中の発作かでてしまい大人しくしている旦那さんが徐々に読者に垣間見せてくれるストーリー。(雑な紹介)最初は「これミステリかぁ?」なんつって「奥さんやべーやつじゃん」て考えたりしてましたがババアに近づくにつれて(なんかこの奥さんみたいな面って自分も持ち合わせてるよな)という意見に変わってきましたね。中学生の頃当時在籍していた学校がめちゃんこ荒れてて救急車が学校に来ることなんかしょっちゅう。大ケガした不良達が運ばれていくなか、不謹慎なんですけど何となく非日常感というか、可哀想、大丈夫?という心配する思いと共に面白いなと思ってしまっている自分に気づきました。命に関わっているかもしれないのにそれだったらそれで面白いなあそんなことが起きるなんて!という残酷な、食べる目的でない、殺す目的で殺した獲物を並べて楽しんでいるかわうそのような面が自分ある事に気が付き、ゾッとしたと同時に初めて向田邦子さんの「かわうそ」の凄みを感じたのです。

 主人公の妻厚子さんは気が利いて可愛らしい女性。なんでも楽しめるというが、火事や旦那の父の葬式の際にTPOを弁えつつもそばで見ていると気が引けるほど楽しそう…な雰囲気が夫には伝わってきてしまう。しかしそれだけだったら良かった。妻が体調の悪くなった娘をその日のクラス会を優先にしたせいで次の日病院に行かせたが娘はもう手遅れだったという事実さえなければ。夫は脳卒中の発作のような頭の音に悩まされつつ、包丁を持つ。しかし自分か目の前にいるこの残酷な女にこの刃を突きつけたいのかわからなくなる。夫は包丁を置き妻の元へ。しかし夫は返事はできなかった。

写真機のシャッターがおりるように、庭が急に闇になった。


以上がかわうそのストーリー。ラストシーンは怖いんだけどもどういうことや??ってな印象でしたね。初め考察したときは奥さんを殺した?それで急に闇という表現が出てきたのか?と思いましたがいや、数行前にダンナ包丁置いてるしなぁ…違うやろなんて考えてましたがネットでネタバレ調べてましたところこの話のオチはは主人公死亡オチということを知りました。庭が急に闇になったというのは視界が途切れた、写真機のシャッターという表現は脳卒中の血管から血が溢れ出す…という最悪な症状が再発したからだと。

かくして真相は闇に葬られる。